リリー フェーズ3の認知症薬セマガセスタット開発中止
公開日時 2010/08/20 04:01
日本イーライリリーは8月19日、米本社がアルツハイマー型認知症治療薬としてフェーズ3まで治験が進んでいたγ-セクレターゼ阻害剤セマガセスタットの開発中止を決定したことを発表した。同社によると、治験は日本を含む31ヵ国で実施されており、日本の開発も中止されることになった。
発表によると、軽度から中等度の患者約2600人が参加した2つの長期フェーズ3の予備段階の結果で、セマガセスタットの投与を受けた患者群では、疾患の進行の抑制が見られず、認知機能の改善度合いを測る臨床的スコアの悪化を伴い、日常性か能力も低下した。プラセボ群よりも統計的に有意な水準で低下したという。また、皮膚がんリスクも統計的に有意に高まることがデータで示されたという。
同剤は、アルツハイマー型認知症の原因は脳にβアミロイドタンパク(Aβ)の蓄積によるものとの仮説に基づき、Aβの蓄積に関与しているといわれるγ-セクレターゼの働きを阻み、効果を発揮すると考えられていた。
米リリーは、アルツハイマー型認知症治療薬として抗Aβ抗体のソラネズマブのフェーズ3を日本を含む国際共同治験の形で進めている。さらに、2つの化合物が早期臨床開発段階にあるという。今後、同社はこれらの開発に注力することになる。