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上から目線

公開日時 2010/06/08 04:00

子供の頃からガキ大将だったSさんは、上から目線のクセをなおせずに面接で苦戦をしていた。

 

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人事のSさん(26歳)のキャリアは、4半世紀前、4月4日に4,500グラムで生まれた時にある程度決まっていたのかもしれない。
同年代の子供よりいつも頭一つ大きく、声の大きなSさんは、周囲からガキ大将として扱われることを当然として成長していった。何人か集まれば、いつもSさんを中心に話はすすみ、彼に楯突いてくる友人はほとんどいなかった。

 

190センチを超す長身で高校時代はバスケ部の主将、推されて学級委員や生徒会役員になることもあったという。大学に入るとアルバイトに明け暮れ、飲食店ではバイトリーダー(実質の店長)になり、リーダーとしての資質はさらに伸びていった。
だが、一方で、文字通り常に人を上から見下ろし、常に上の立場で人を使う日々を送ってきたせいで、Sさんには人を小馬鹿にするようなクセがついてしまっていた。

 

就活時、Sさんの堂々とした態度は好感を持たれることも多く、それほど苦労なく内定を獲得することができた。だが、仕事を始めると不遜な態度は周囲との摩擦を生み、Sさんは人間関係をこじらせて会社を辞めてしまった。

 

転職でも、問題になったのは彼の上から目線の態度だった。
面接官の証言では「舌打ちのようなものをする」「こちらの話し中に肩をすくめる」「眉間にしわをよせて、露骨にイヤだという顔をする」「片方の眉をあげて、こちらを睨むように見る」「手を腰にあてて胸を張り、見下したような態度をする」と、評価は惨々。
「自分では相手をバカにしているつもりはないんです。無意識でしている動作が面接でもつい出てしまって…」
不採用が続き、Sさんは大きな体を震わせて涙ぐんでいた。彼にも同情すべきところはあった。体が大きいが故に培われた性格。そして鼻にかかった少し勘にさわるところのある声や、バスケで膝を怪我してついた、だらしなく体を傾けてしまうクセは、彼の非とも言い切れないものだった。

 

我々はSさんとじっくり話し合い、こうした短所を、長所の裏返しとプッシュしていく作戦に出ることにした。とにかく学生時代を通じて、人の上に立つポジションばかりやってきたのだ。リーダーシップは間違いなくある。新卒入社者の教育担当を求めている企業や、バイト採用の多い企業に「態度は大きいですが、それが強みにもなっています」という推薦理由でSさんを紹介していった。

 

そして、問題の面接では、「とにかく動かないこと」を目標にした。
自分が喋るときに動かないわけにはいかないが、相手が質問の時には手を強く組んで、可能な限り眉を動かさない。模擬面接を行い、この2点を徹底して練習した。動かなければ不必要な所作が出る可能性も減るというわけだ。

 

こうして、どうにかこうにか流通A社の総務人事におさまったSさん。
入社後は店舗研修で指導力を大いに発揮し、新天地で順調な滑り出しをみせたと聞き、我々はホッとしていたのだが、先日Sさんからお礼メールが届いた。

 

「A社で元気にやっています。転職エージェントって、期待していなかったんですが、それなりに役に立つものですね。落ち込んだ時は、意外にありがたいものだと思いましたよ」

 

人の本質は、なかなか変わらない


 

リクルートエージェント

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