ロシュはジェネンテック買収後初めて2014年までに承認取得が見込まれる中期、後期開発品の16新規化合物を含む、研究開発パイプラインを公表した。パイプラインはほとんどが13~14年に承認申請が見込まれるものが多く、今年の承認取得見通しは既存薬のアバスチン、ハーセプチン、リツキサンの適応拡大がほとんどを占めている。
16の新規化合物の半分に当たる8化合物ががん化学療法分野のもので、今年中に申請が見込まれる新規化合物としてあげられているのが抗HER2抗体トラスツズマブと微小管阻害細胞殺傷剤から構成されるT-DM1。ハーセプチンによる標準治療に抵抗性を示すHer2陽性転移性乳がんを適応としている。
当初はHer2陽性転移性乳がんのサードライン治療薬として申請を行う見通しだが、同社で別の開発品であるHer2阻害薬Pertuzumabとの併用試験なども計画し、将来的にはT-DM1より早期段階での選択薬に押し上げたい考え。
一方、新規16品目の中には安全性の評価で厳格さが増す生活習慣病領域の開発品4品目も含まれている。最も直近で申請が見込まれているのはフランスのIpsen社から06年にライセンスを取得し、11年に申請予定の2型糖尿病治療薬でグルカゴン様ペプチド(GLP-1)製剤タスポグルチド。今年2月には5つの第3相臨床試験で良好な結果が得られたと発表し、その詳細は6月に開催されるアメリカ糖尿病協会サイエンス・セッションで発表される。
また、同社が強い期待を寄せるのがコレステリール・エステル転送蛋白阻害作用を有する高脂血症治療薬dalcetrapib。同社製薬事業部門最高執行責任者のPascal Soriot氏は「dalcetrapibはピーク時で売上高50億スイスフラン(約47億ドル)を期待できる」と評している。
(The Pink Sheet 3月22日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから