第3回 医師会会員間の意見相違も明らかに
レセプトオンライン請求の義務化への対応について日医は、関係政府筋、与党関係者に対してロビー活動を展開してきたといわれる。レセプトオンライン請求完全義務化はいわば、小泉改革の置き土産的なニュアンスもあり、背景にある2200億円問題とも絡んで、この問題は政府の財政方針にも関わる重要案件との位置づけは政府部内にも大きい。舛添要一厚労相が、完全義務化の緩和案を公表したとき、規制改革会議が不快感を示し、義務化の堅持を厚労省に再確認させたことはそのことを裏付けている。
日医関係者は、「結局は解散総選挙の結果次第。対応指針を5月に出したのは、現時点では現与党が敗北するかもしれないという下敷きをおいて、政権交代が行われても、レセプトオンラインに関する問題解決はそれほど容易ではないこと、仮に現与党が存続しても、ロビー活動をしてきたというアリバイが残り、あとは選挙後政府の対応次第だ、というエクスキューズができる」という。
しかし、この対応指針は、都道府県を中心にレセプトオンライン請求完全義務化に関しては会員間に意見の隔たりが大きいことを露呈させ始めているフシもある。もともと、レセプトオンライン請求については、レセコン導入を早期に始め、院内IT化に対応してきた医療機関からは、請求事務簡素化の観点から審査支払機関との一体となったシステム運営が求められてきた背景があり、日医もオルカシステムの開発などを通じてIT化を進めてきた背景がある。
一部の会員には、レセプトオンライン請求完全義務化の反対運動は実質的には意味がなく、対応できない医療機関に対するサポートを強化すればいいとして、路線転換を求める意見も根強い。反対派の根拠には、診療情報の集積化が管理医療につながるとの問題も指摘されるが、推進側は政府は管理医療化に向けてはどんなデータでも用意するに決まっていると反論する。
このように、対応指針は医師会内部の意見対立を引き出してしまった感も否定できない。実は、レセプトオンラインの問題だけではなく、こうした会員間の意見集約に苦労するだろうとみられるテーマは少なくない。