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医療・ヘルスケア業界の“変革実行パートナー”として 「患者中心」の実現に貢献  (2/2)

日本初のコントラクトMR誕生から25年目を迎え 日本CSO協会が描く「CSOの新たな未来像」とは─

公開日時 2022/07/25 10:00
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固定費の変動費化でコスト効率向上にも寄与
米国におけるCSOの活用方法は、日本に比べてよりダイナミックだ。サイネオス・ヘルスの調べによると、製品ライフサイクルに応じた ▽新しい製品・市場の垂直立ち上げ時の集中的活用▽自社リソースが不足しているエリア・領域等の継続的活用▽ノンコア領域における効率的活用──は既に一般化しており、新興のバイオ企業等での、営業インフラを含めたフルアウトソーシングも始まっているという。

さらに、片岡恵連氏(サイネオス・ヘルス)は、「CSO活用による固定費の変動費化に関する効果の試算では、派遣型、委受託型ともに、製薬企業の平均的なコストと比べ、コスト効率の向上が見込めることが示されています。なかでも、CSOの裁量によりチーム編成や活動を最適化する委受託型は、マネジメントや営業オペレーション関連コストも変動費化できることで、よりそのインパクトが大きくなります」と説明する。このようなコストメリットに関する認知も、米国でCSOの戦略活用が一般化している背景となっているわけだ。
日本のCSOの未来像
果たすべき3つの役割
こうした欧米の変遷やポストコロナを見据え、CSO協会が掲げる未来像が、①質を備えたフレキシブルリソース、②チェンジエージェント、③製薬・ヘルスケア業界の人財ポートフォリオ機能──の3つのあり方だ。具体的には、①では顧客企業と同等以上のパフォーマンスをコスト効率良く実現することによるROIの最適化、②は新しいコマーシャルモデル構築に向けた、さまざまな取り組みのパイロット等による変革の加速、③は、より広くヘルスケア業界の中で、貴重な人的資源の流動化・最適化を促進し、多様なキャリアや働き方を創出するといった役割を目指す。これまで追求してきた CSOサービスの“質”に加え、“幅”も同時に進化させることで、顧客企業ひいては業界全体のトランスフォーメーション、生産性向上に寄与していく構えだ。
CSOの役割を深化・拡大し、新たな変革や生産性向上を支援
同協会は2011年に発足以来、10余年にわたり、加盟CSO企業におけるサービス品質の向上・標準化、信頼の確立を掲げ、取り組んできた。2019年にリーディングユーザー10社を対象に実施したインタビュー調査では、サービス品質に関わる全項目(採用/配属、育成、マネジメント、MRの質)の8~9割で「期待どおり」以上の評価を受けている(図3)。



また、今後のCSO活用意向についても、「経営の柔軟性を高めるために、グローバル方針としてCSOを20-30%まで引上げていく」、「中長期で、業界がどうなるか、メーカーはどうあるべきかを一緒に考えてほしい」、「メーカーは化合物の目利き・新薬創出に特化し、開発やマーケティング・販売は全てアウトソーシングだって良い」などの積極的な声が見られている。

次のステージへの素地が確立されつつある中、新体制では、高度化・多様化する顧客ニーズに応えていくため、さらに一段ギアを上げてCSOの役割を深化・拡大させ、欧米並みのアウトソーシング率10%超を目指す方針だ(図4)。既に加盟CSO各社では、リモートとハイブリッドでの活動の質向上や、▽スペシャリティ領域専門チームによる営業戦略の立案・実行▽リモート推進のチェンジエージェント▽製品のマーケティングおよびセールスのフルアウトソーシング──など多様なサービスの創出が進んでおり、協会が後押しすることでCSOの活躍の場を拡げていく。


「変革実行パートナー」として患者中心の医療・ヘルスケア実現に貢献
具体的な活動としては、「人事・教育」「法務・ガイドライン」「広報・マーケティング」の3つの運営委員会を組織。人事・教育では、「人材の価値が“より高まり、活きる”取り組みを進めていく。医療・ヘルスケアの担い手として活躍できるプロフェッショナル人財の育成を軸に、キャリアパスや人事制度の整備など働きやすい環境づくりも検討していく。コロナ禍で課題になっているメンタルヘルスも新しいテーマ」(木崎氏、人事・教育担当理事兼)とする。また、法務・ガイドライン担当理事の八所孝志氏(アポプラスステーション)は、「CSO業界全体でコンプライアンス体制を強化していくことが重要。厳格化する業界法規制への対応とともに、顧客やサービスの拡がりに即した適正な請負・派遣体制を構築していく必要がある」と抱負を語る。広報・マーケティングは、メディアでの情報発信に加え、協会メールマガジン「CSOのひと・サービス」の新シリーズを開始するなど、新しいCSOの姿を積極的に示していく。「顧客、人材の両方に向けて、『CSOに任せたい』『CSOで働きたい』と思っていただけるよう、サービスやキャリアの拡がりの認知を上げ、ビジネスニーズと人材ニーズを繋ぎ、機能させる好循環を生み出していきたい」(松本大輔氏、同担当理事、IQVIA)

副会長の昌原清植氏(EPフォース)は、「今後、CSO業界が成長できるかは私たち次第。不確実性の中で、変わっていかなければいけない今の時代だからこそ、CSOがお役に立てる場面は増えており、お応えできる素地は出来てきた。加盟各社それぞれの特色を発揮しながら、業界全体で、医療・ヘルスケア業界の変革になくてはならない“パートナー”として、患者中心医療の実現に貢献していく」と決意を示す。

新たなステージを迎えたCSOの進化に期待がかかる。


日本CSO協会ウェブサイト:https://www.jcsoa.gr.jp/
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