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医療機関の震災対策 「改善予定なし」が5割以上 コスト・低い危機意識背景に

公開日時 2012/02/24 04:00

医師限定コミュニティーサイト「MedPeer」を運営するメドピアはこのほど、2011年3月に発生した東日本大震災後に各院の震災対策が改善したかどうかに関する調査結果をまとめた。最も多かった回答が「改善予定なし」で55.5%だった。この回答医師の中には、震災前からある程度準備しているため「改善予定なし」との回答が一部見られたものの、「何も変わっていない」との声が大多数で、メドピアによると西日本や震災影響を受けなかった地域で対策が講じられていない傾向と分析している。医師会員数は約4万2000人。

調査は1月23日~29日に実施した。有効回答数は2380件。調査は会員医師が他の会員医師に日常診療の素朴な疑問などを聞く形式で実施するもの。今回は、東日本大震災では停電で電子カルテが使用できなくなったり必要な医薬品が届かないなど診療システムや物流上の問題が発生したが、各院で震災後に対策を講じたかどうか、改善しているのかどうかを聞いた。

最も多かった「改善していない。今後改善予定なし」との回答医師からは、「本来なら薬剤の備蓄など検討すべき点は多いが、病院に余裕がなく、今のところ何もされていないのが実情」(50代、一般内科)、「(自家発電は)当面は費用対効果を考えると導入できない」(50代、一般内科)、「西日本ではあまり切実感がない」(50代、循環器外科)、「都内病院だが、全く影響を受けなかったためか何も改善策がとられていない。直下型地震が起こった時が心配」(30代、眼科)――といったコメントが寄せられ、費用負担の問題や危機意識の乏しさがみられた。

また、現状は改善していないが、今後改善予定との回答は13.3%で、電子カルテのバックアップシステムや医薬品・消耗品の備蓄を検討中とのコメントが散見された。なお、現時点において震災後に実質的に何も改善しない病院は7割近く(55.5%+13.3%)に達することになる。

一方、「改善した」との回答は3割強。医師コメントを見ると、自家発電機や備蓄用ガソリンなどの配備のほか、緊急避難マニュアルや患者搬送マニュアルの整備・再点検、薬剤や包帯などの備蓄量の確認や見直し、電子カルテから定期内服など最低限の情報を紙カルテに残すようにしたなど、いろいろな対策が見られた。また、「自家発電も燃料が流通しなくなるとアウトなので、最低限の電源確保のため大型バッテリーシステムを新たに整備した」(40代、一般内科)や「病院の壁全体に太陽光パネルを設置して停電に備え、安心して入院生活を送ってもらうため津波シェルターを備えた。いっぱいお金がかかった」(30代、一般内科)、「地域の基幹病院。断水時に住民にも広く使用してもらうため井戸を掘り、飲料水を確保した」(50代、一般内科)といった内容も見られた。

 

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