武田薬品・岩﨑日本管掌 患者の医薬品アクセス確保で「グローバル患者支援プログラム(PAP)」に注力
公開日時 2022/07/14 04:50
武田薬品の岩﨑真人代表取締役・日本管掌は7月13日、第24回インターフェックスジャパンでビデオ講演し、医薬品への患者アクセスを確保する「グローバル患者支援プログラム(PAP)」に注力する考えを明らかにした。PAPは、治療費を払えない患者の経済的支援プログラムのほか、患者の経済状況に応じて価格設定するというもの。さらに必要に応じて政策ポリシーの提言を包括的に行う。岩﨑日本管掌は、「PAPの活用などタイムリーで公正な医薬品アクセスを実現する」と表明した。一方、求めるタケダ人財については、「次世代の働き方を築いていくことも大切だ。現在ハイブリッドワークモデルの導入を始めている」と強調した。
◎「事業戦略を成す3つの約束」-Patient、People、Planet
「タケダの企業理念に基づくパーパス経営とその実践」をテーマに岩﨑日本管掌がビデオ講演した。同社が掲げる「事業戦略を成す3つの約束」とは、①Patient(患者)、②People(従業員)、③Planet(環境保全)-。岩﨑取締役は患者貢献で最も重要視する研究開発について、「7年前の研究開発パイプラインは低分子化合物が約80%だった。現在は、低分子以外の化合物が約80%を占める。多様化するモダリティのためにはパートナーシップが大切だ」と強調。患者のアンメットニーズに応える革新的新薬を創出するために、「外部と積極的なパートナーシップを行っている。そのネットワークを通じ、世界最高水準の研究所と新たな研究を結合させて持続可能なイノベーションを実現したい」と強い意欲を示した。
◎グローバルCSRプログラムに総額162億円を投資
一方で、岩﨑日本管掌は、「医薬品をどのようにして患者に届けるかも重要だ」と述べ、医薬品アクセスに対するガバナンスがタケダに求められているとの認識を強調した。その上で医薬品アクセスの包括的アプロ―チとして、「患者支援プログラム(Patient Assistance Programs:PAP)」に注力していることを報告した。同社によると、PAPはタイで運用がスタートしており、東南アジア、ラテンアメリカ、中東など10か国程度に拡大する予定。
事業領域以外の疾患に対しては、「グローバルCSRプログラム」を行っている。岩﨑日本管掌は、「このプログラムは従業員の手上げでプログラムを決めている。現在、2016年から21年までに総額162億円を投資した。多くのパートナーとこのプログラムを進めている」と報告した。
◎ハイブリッドワークモデルの導入を始めている 多様性、公平性、包括性がカギ
タケダ人財については、「理想の働き方の実現(Exceptional employee experience)」に注力しているとした。岩﨑日本管掌は、「この10年で従業員は2万人から5万人に増加した。活動する国や地域も拡大した。グローバルな組織となって従業員の多様性が広がっている。私どもは、この多様な人材を活かして企業価値を最大化したい」と強調した。次世代人財については、「現在ハイブリッドワークモデルの導入を始めている。多様性、公平性、包括性がカギだと思っている。また、従業員が生涯学習できるような環境をつくることが大切で、最終的に自立できる人財を育成していきたい」とした。さらに、「社内のカルチャーを変えていくようなボトムアップのアクションを構築している」と述べ、日本では女性活躍、多様性・異文化コミュニケーション、スキルアップ、育児・ファミリーサポートなど、さらにキャリア形成にかかわるサポートを行っているとした。このほかにがんサバイバーの従業員とその家族に対しても、「どのような働き方ができるかサポートしている」と明かした。
◎DXを加速 VRは「医療関係者との症例検討会での活用を検討」
データ・デジタルの取り組みにも触れた。岩﨑日本管掌は、「DXを加速させるためにはボトムアップ活用が大切。10年後には全従業員がAIを使うことを前提にトレーニングやデジタルカルチャーを醸成している」と述べた。また、学生向けのインターンプログラムとして、タケダ・デジタル・アクセレーター・プログラムも開始したことを説明した。このほか、VR(バーチャル・リアリティ)の活用にも触れ、製造現場における「無菌操作が必要な場合のトレーニング」に活用していると指摘。また、「医療関係者との症例検討会にVRの活用を検討している」とも明かしてくれた。