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東京圏のグローバルバイオコミュニティ形成へ 新組織「GTB」が発足

公開日時 2021/10/06 04:50
東京圏のグローバルバイオコミュニティ形成を目指す「Greater Tokyo Biocommunity(GTB)」が10月5日、発足した。バイオインダストリー協会が事務局を担い、バイオ産業やアカデミア、金融機関、自治体など、産官学から42団体が集った。“グローバルバイオコミュニティ”は、政府の「バイオ戦略2020」に明記されており、2021年度末に予定される認定を目指して活動を進める。GTB構想は東京都だけでなく、筑波研究学園都市や湘南ヘルスイノベーションパークなど、周辺地域まで及ぶ広域となる。GTB協議会の会長に就任した永山治氏(バイオインダストリー協会理事長)は、「広い地域でのコミュニティを確立することで、日本のバイオ力が強化される」と意気込みをみせた。

政府が2019年に策定した「バイオ戦略2020」では、2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現することを明記。その柱の一つとして、「グローバルバイオコミュニティの形成」が掲げられている。候補地域として、東京圏と関西圏の2か所が明記されている。

◎コミュニティのポテンシャルを見える化で世界に発信 人材や投資ひきつける

GTBはこの目標を達成するために活動する新組織。東京都内だけでなく、筑波研究学園都市や湘南ヘルスイノベーションパーク、殿町国際戦略拠点キングスカイフロントなどを含む広域が対象となる。研究開発から事業化まで担う多様な機関を集積、ネットワーク化することで、戦略的なバリューチェーンを構築。あわせて、域内の実力を見える化、ベンチマーキングし、これに基づいて今後の具体的なアクションと定量目標の設定などを行う考え。コミュニティのポテンシャルを世界に向けて発信することで、デジタルなどに強みを持つ人材や投資をひきつけ、エコシステムを円滑に回し、イノベーション創出につなげていきたい考え。米ボストンや英ロンドンに並ぶ、世界的なバイオクラスター構築を目指す。

発足に先立って開かれた会見で永山会長は、バイオ化を進めるうえで、「一社で全部最初から最後までやるというような話ではなく、バリューチェーンに色々な会社やプレーヤーが分担して最終成果物までもっていく。有機的に連携し、エコシステムを活用し、イノベーションが起きることが必要だ」との考えを示した。米ボストンなど海外事例を踏まえ、「コミュニティづくりが非常に有効だ」と述べた。様々なプレーヤーを「有機結合させて、コミュニティが触媒になっていろいろな企業や大学、自治体が協力し、バイオ化を進める」ことが必要とした。これまでの国内のクラスターはプロジェクト単位になるなど、小規模なものも多く、オープンイノベーションの発展性に限界があったことを指摘した。そのうえで、広域なGTB構想では、参画するプレーヤーが多く、「選択の幅が広がる」とメリットを強調した。

日本のバイオベンチャーをめぐる課題としては、米国と比べて投資額の少なさやIPO(新規株式公開)後に投資が継続されず、ビジネスチャンスを失うことなどが指摘されている。永山会長は、コミュニティのポテンシャルを発信することの重要性を強調。「色々なプロジェクトやベンチャーのオポチュニティが見えて結果的に評価して、資金を継続的に供給してもらえるような方向にもっていきたい」と意気込みをみせた。GTBには、金融・投資機関もメンバーとして名を連ねており、専門家を含めた議論を通じて、課題解決につなげていきたい考えも示した。



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