エーザイ 東大にタンパク質分解創薬講座を設置
公開日時 2020/10/12 04:50
エーザイは10月8日、東京大学と標的タンパク質分解技術の開発と創薬に向けた共同研究契約を締結し、社会連携講座「タンパク質分解創薬」を設置したことを発表した。研究期間は2020年10月1日から2025年9月30日までの5年間。
社会連携講座は、公共性の高い共通の課題について、東京大学と共同で研究を実施しようとする民間などの費用によって設置、運営されている。
「タンパク質分解創薬」講座は、東京大学大学院薬学系研究科に設置され、国立医薬品食品衛生研究所遺伝子医薬部部長だった内藤幹彦氏が特任教授として着任し、SNIPERなどのタンパク質の分解技術の開発と同技術を用いた創薬研究を主導する。
SNIPERは、ユビキチン・プロテアソーム系を活用して標的とするタンパク質を分解する化合物で、従来の低分子阻害剤とは異なる薬理作用が期待される。ユビキチン・プロテアソーム系は、不要なタンパク質を分解する生命現象の一つで、がんや神経変性など主要な疾患との関連が明らかになってきている。
エーザイの創薬科学に関する知見と新設講座の研究科が推進する世界最先端のユビキチン・プロテアソーム研究を融合し、薬剤の標的となるタンパク質を分解する新しい技術を開発し、創薬研究を推進する。また、研究を通じて、同分野の次世代のリーダーとなる人材を教育養成していく。
タンパク質分解技術は、標的タンパク質の分解を誘導する一連の技術であり、ケミカルノックダウンとも呼ばれている。特定の酵素や受容体といった従来の標的だけでなく、創薬が困難とされてきた疾患関連タンパク質に対する薬剤を創出する基盤となる可能性をもつ。これまで治療選択肢が限られていた、患者に新たな治療選択肢を提供することを目指していく。