政府 新型コロナ感染症で緊急経済対策を決定 108兆円は過去最高 治療薬・ワクチンの開発促進
公開日時 2020/04/08 04:52
政府は4月7日の臨時閣議で、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策と、総額108.2兆円規模の2020年度補正予算案を了承した。安倍首相が東京都など7都府県に「緊急事態宣言」を発出したことを受けたもの。新型コロナウイルス感染症の治療薬・ワクチンの研究開発として275億円を計上。アビガンの臨床研究を海外に拡大するほか、今年度内に200万人分の備蓄を確保する。フサンについても、観察研究等として事前に同意を得た患者への投与を進める。ワクチンについては、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)やGaviワクチンアライアンスへの拠出を通じ、国際連携する。薬事承認を見越し、国家備蓄分として購入する予算も盛り込んだ。
緊急経済対策の予算規模108兆円は過去最高。経済対策は、①感染防止対策と医療提供体制など「緊急支援フェイズ」、②新型コロナ終息後の「V字回復フェイズ」-に大別される。このうち感染防止策と医療提供体制の整備および治療薬の開発で、総額6695億円を計上した。各都道府県が必要とする対応を柔軟かつ機動的に実行するため「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(仮称)」(1490億円)を創設する。受入病床の確保、応援医師等の派遣、軽症者の療養体制の確保などに充てる。
◎マスク、消毒液、人工呼吸器の増産を支援
マスクや消毒液を製造する企業に対しても、生産設備への投資を支援する。マスクは月7億枚を超える供給を確保する。検査体制については、PCR検査の検査機器の導入を支援する。人工呼吸器についても、企業に対し、増産や輸入拡大を要請するとともに、国において必要な量を確保するため、265億円を計上した。また、重症患者の増加に備え、体外式膜型人工肺(ECMO)などの医療機器を正しく扱える医療者を養成するなどの費用として、4.3億円を確保する。
◎医療用マスクも4月中に追加で1500万枚配布へ
医療提供体制の強化では、全国で感染症指定医療機関等の病床をさらに積み増しし、緊急時には5万を超える病床を確保する。医療従事者が使用する医療用マスクも4月中に追加で1500万枚配布するなど、医療用マスク・ガウンなどを国が確保し、必要な医療機関に優先配付するとした。さらに、患者を受け入れる医療機関について、診療報酬で感染防止に留意した対応等を特例的に評価する。このほかオンライン診療・服薬指導についても、初診対面原則の時限的緩和と診療報酬上の取り扱いの見直しも織り込んだ。
◎海外依存度の高い医薬品原薬の国内製造拠点の整備
このほか、将来を見据えた「強靭な経済構造の構築」では、今回の感染拡大という危機をチャンスに転換するための施策も盛り込んでいる。医薬品関係では、海外依存度の高い医薬品原薬の国内製造拠点の整備も支援する(30億円 補助率2分の1)。製造所の生産設備に係る費用を補助する。