中医協・薬価専門部会 毎年薬価改定実施で産業構造転換に危機感

公開日時 2016/12/12 03:52
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中医協薬価専門部会が12月9日開かれ、年内にも策定される薬価制度抜本改革の基本方針策定について、日米欧製3団体と日本医薬品卸売業連合会(卸連)のヒアリングを行った。薬価の毎年改定が焦点となっているが、12月7日開催された経済財政諮問会議では、毎年改定など薬価制度の抜本的改革を通じ、産業構造の転換の必要性が指摘されていた。この日の中医協では、日本ジェネリック製薬協会の吉田逸郎会長(東和薬品社長)が「特に後発品企業は壊滅的となる」と述べるなど、業界側から危機感を示す声があがった。厚労省側は、こうした業界の意見を吸い上げ、塩崎厚労相が今週中にも開かれる麻生財務相、菅官房長官、石原経済・財政相の4大臣との会合に臨む。官邸では、基本方針策定後は、できるだけ早期の実施を求める声があがっており、基本方針策定後の2017年度中にも薬価の毎年改定が導入される可能性も高まっている。


先週7日に開かれた経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)では、薬価の毎年改定の導入は避けられない状勢となり、改定の対象範囲が焦点となった。諮問会議の民間議員が全品を対象にした薬価調査と、それに基づいた薬価改定を求めた。これに対し、厚労省側は、全品を対象とした上で、効能効果の追加などで当初の予想販売額を上回る医薬品や、後発医薬品など市場実勢価格と薬価の乖離率が大きい製品を洗い出すなど、一定の水準や要件を定めた上で、薬価を引き下げる考えを示している。また、薬価制度改革を通じた産業構造の転換の必要性も指摘された。塩崎厚労相が提出した資料でも、先発メーカーにはより高い創薬力を、ジェネリックメーカーには規模の拡大を念頭に置いた市場の競争促進を求めている。特に、後発品と長期収載品をめぐるビジネスモデルは、大きな転換を求められることが想定される。


◎GE薬協・吉田会長「後発品企業は壊滅的になる」


この日の中医協では、日本製薬団体連合会(日薬連)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)の3団体が共同で意見陳述を行った。日薬連の多田正世会長(大日本住友製薬社長)は、薬価の毎年全面改定について、「企業の競争力を一様に弱体化させるとともに、国の成長戦略に反する」と指摘。「イノベーション創出や医薬品の安定供給等、保険医療に貢献する医薬品の提供に重大な支障を及ぼすことになる」と述べ、断固反対の姿勢を示した。「ルールを前提として投資、人の配置、採用を進める。毎年改定は経営の前提条件が変わるということにつながる」と述べ、企業経営の観点から予見性を損なう施策の導入に反発した。


一方、GE薬協の吉田会長は、1983~86年にかけて4年連続薬価改定が実施された際に、最大の打撃を受けたのは後発品中心のメーカーだったと説明。「万が一、毎年改定となれば製薬企業の中でも特に、後発品企業は壊滅的となる。後発品の使用促進が停滞し、安定供給の責任が果たせなくなる」と述べ、毎年改定の導入に強い反対の姿勢を示した。


◎日薬連・多田会長 効追による市場拡大製品の薬価引き下げに理解


薬価改定の対象範囲について日薬連の多田会長は、「非常に不合理な部分にはいまの薬価制度には残っている。大きく原価が下がるような行動があったときには下げるべきというのが、もはや我々の基本スタンスとなっている」と述べ、効能追加などで市場規模が拡大された製品の薬価引下げについては容認する姿勢を示した。


一方で、EFPIAのオーレ・ムルスコウ・ベック副会長(ノボ ノルディスク ファーマ)は、「効能追加のためには、追加的に臨床試験を実施する必要がある。追加的な投資が必要」と指摘。薬価の引下げにより必要な患者に医薬品を届けられない可能性を指摘し、「患者のためにならない」と主張した。


そのほか、論点の一つに外国平均価格調整があがっており、この日も米国の薬価の取り扱いをめぐり議論があった。現状の薬価制度では、米、英、独、仏の価格を参照している。ただ、米国の薬価が市場実勢価格ではなく、これを含めることで日本の薬価が相対的に上昇するとの懸念がもたれている。 日本製薬工業協会(製薬協)の畑中好彦会長(アステラス製薬代表取締役社長CEO)は、米国は世界最大の市場であるとした上で、「最大市場の価格を全く無視される時には慎重に議論をお願いしたい」と述べた。その上で市場実勢価格を把握することの必要性を強調。「何らかの反映させる良い方法が見つからないということであれば、外していくという方向性も議論に委ねていきたい」と述べた。


◎卸連・鈴木会長 高仕切価で厳しい交渉に「医薬品の安定供給に支障も」 調整幅も俎上に


一方、卸連の鈴木賢会長(バイタルネット会長)は、「流通改善に逆行し、医薬品の安定供給に支障を生じかねない毎年改定には、断固反対する」と主張した。薬価の引下げスピードを抑制するために高仕切り価が製薬企業から設定される一方で、医療機関側からは、薬価改定前の現行薬価差率で要求される可能性を指摘。「極めて厳しい価格交渉が行われることが見込まれる」と主張。さらに、新たな薬価に基づく価格交渉を短期間で行うことが求められることから、「総価取引が拡大し、単品単価取引はさらに後退する」などと主張した。


診療側の松原謙二委員(日本医師会副会長)も、医薬品の安定供給に必要な流通経費の確保の必要性を指摘。「交渉を妥結した上で下がらないことが起きる可能性が高い。そういった手間が増えることについては結果的にプラスにならない」と述べた。


現在、流通の安定性を図るために、市場実勢価格に2%の調整幅を持たせて薬価を決めているが、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「改定頻度を変えるときに調整幅が妥当かどうかも議論の中に入ってくるのではないか」と指摘した。診療側の松原委員も「もともと医療機関では残薬が出る。2%で対応できないので、もっと高く評価していただきたい」と述べた。

 

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