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塩崎厚労相 化血研に「事業譲渡を速やかに実現を」

公開日時 2016/10/19 03:50

塩崎恭久厚生労働相は10月18日、国内ワクチンメーカーの統廃合による競争力強化などを求める提言書がまとまったことを受けて厚労省内で記者会見し、「化血研(=化学及血清療法研究所)はアステラス製薬との間で事業譲渡の話し合いが行われていると承知している。化血研にはこの提言を十分踏まえ、事業譲渡を速やかに実現するよう指導を継続していきたい」と述べた。譲渡交渉が停滞しているとの指摘があるなか、提言書をきっかけに事業譲渡を前に進めたいとの意向が垣間見える。

提言書は、「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース」の顧問4人がまとめた。同タスクフォースは2015年に発覚した化血研による不正製造を受けて厚労省内に設置されたもの。特定企業に過度に依存している脆弱なワクチン供給体制などの課題が浮き彫りとなったことが背景にある。塩崎厚労相は提言の取り扱いについて、「ワクチンや血液製剤の産業、メーカーともこの提言を共有し、提言の実現に向けて進めていきたい」と述べ、提言内容に沿った政策を検討していく考えを示した。

■ワクチン産業の業界再編を推進

提言ではワクチン産業について、「ワクチンは公衆衛生及び国家安全保障の根幹」とした上で、「国内メーカーはこれまでの護送船団方式から脱却し、新規ワクチンの研究開発力や国際競争力を十分に持つ規模・形態・組織能力を確保することが必要」と指摘した。

そして、世界ではメガファーマ4社で市場の約7割を占める寡占状態にあることを引き合いに、「国内市場では統廃合が進まず極めて小規模のままである」とし、「国内ワクチンメーカーに対して、競争力や経営基盤の格段の向上のための統廃合による企業規模の拡大、株式会社等への組織形態の見直しおよび透明性高く、強固なガバナンスや高い倫理観に基づくコンプライアンスの強化を強く促し、ワクチン産業の業界再編を推進する」ことを求めた。厚労省によると、ワクチン産業について企業規模拡大、国際競争力強化に向けた業界再編を求める提言は今回が初めてという。

安定供給の確保では、「可能な限り1種類の製剤の供給を国内外の複数社で行う体制を確保し、制度的な位置付けを検討する」よう提言した。これは昨年の化血研の不正製造の際に、同社しか製造していない製品があるために医薬品製造販売業の許可取消処分ができなかったことが背景にあるようだ。このほかの安定供給に向けた提言として、▽通常の医薬品のような薬価制度を参考に価格低減メカニズムの導入▽戦略的国際連携を活用しつつ国内での製造体制を確保する取り組みの継続――も盛り込んだ。

提言をまとめた同タスクフォースの顧問は、尾身茂(独立行政法人地域医療機能推進機構 理事長)、花井十伍(特定非営利法人ネットワーク医療と人権 理事)、渋谷健司(東京大大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)、近藤達也(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 理事長)――の各氏。

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