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英国・保険診療下での抗がん剤使用 8割が患者のアクセス制限

公開日時 2014/07/16 03:50

米国研究製薬工業協会(PhRMA)は7月10日、英NICE(国立医療技術評価機構)が運用している医療技術評価システム(HTA)について抗がん剤などへの患者アクセスを妨げているとする内容の報告書を発表した。特に、直近7年間で承認された抗がん剤のうち、約8割の抗がん剤で英国民保健サービス(NHS)下での使用にアクセス制限が設けられたほか、13年に承認された薬剤はすべてNHS下での使用を制限されているとした。報告書は、PhRMAが米ヘルスケアデータ調査・分析会社Context Mattersに委託研究・調査させた。


調査では、NICEが2007~13年に費用対効果の観点からNHS下での使用が推奨された薬剤、推奨を拒否された薬剤の動向を調査。ICEが採用している1QALY(質調整生存年)あたり増分費用対効果比(ICER)を算出する方法の妥当性や患者アクセスの実態などの把握を試みた。


主な結果をみると、13年は、英国での薬事承認を取得している6剤の抗がん剤すべてがNICEによりNHS下での使用を拒否された。NICEによる抗がん剤の非推奨は、07年の71%以降、08年の58%、09年の33%と減少傾向を示したものの、10年44%、11年56%、12年60%と増加の一途をたどり、13年は遂に100%となった。


一方、直近7年間でNHS下での使用の推奨を受けた抗がん剤は4分の1に満たない21%、非推奨が56%、何らかの制限が課せられた薬剤が23%で、結果的に79%はアクセスに制限が課せられた。抗がん剤以外の薬剤では、推奨が40%、非推奨が16%、何らかの制限が課せられた薬剤は44%で、抗がん剤でのアクセス制限がいかに大きいかが浮き彫りにされた。


報告書では、米英の主ながんにおける5年生存率も比較した。5年生存率は、子宮頸がんで米国67%、英国59%、乳がんで90%、78%、結腸直腸がんで65%、51%で、いずれも米国が英国より優れていた。


13年9月にファイザーのクリゾチニブがNICEに非推奨となった際の英議会のPriti Patel議員は、NICEが新規抗がん剤を拒否したことに触れ、問題提起したいとして、「(このような状態では)英国はライフサイエンスの研究開発や救命薬使用では欧州他国に遅れを取るリスクを冒している。患者へのアクセスを改善するようにNICEを改革することが重要だ。医薬品アクセスにくじ引きのようなことをやっていることに終止符を打たなければならない」との提言を引用している。


Context MattersのYin Ho創設者兼CEOは、「この分析は、現行のHTAモデルが患者のニーズや嗜好の多様性を説明する上で、十分に柔軟性をもっているのか、また、新しい治療法の価値は時間をかけて現れるということについて考慮しているかどうかについて疑問を投げかけている」と話している。

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