中医協 医療経済実態調査、委員から「現場の感覚と違う」との声
公開日時 2009/11/09 04:01
中医協・診療報酬基本問題小委員会は11月6日、新メンバーで改めて「初・再診料」について議論した。安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、議論に先立ち、10月30日に中医協総会に報告された医療経済実態調査の結果について、「実態調査の数値と我々が実感する個人医療機関の実感に非常に大きなかい離がある」と、現場の感覚より高い数字が示されたと主張した。
安達委員は「地域の医師を代表する委員として選任いただいた」との立場を示した上で、医療経済実態調査の内容に対する個人的な見解を示した。同委員が所属する京都府医師会や臨床内科医会内から聞かれる意見の多くが「この数字はどこの病院の数字だ」というのもので、調査結果が「実感する数字とかい離している、一言で言うと高い」という。
その原因について、回収率が50%だった同調査に回答してきたのが「比較的に収益の高い施設ではないか」と分析。「実調の調査は、診療の合間に医師が書くのは大変な労力」であるため、税理士に会計処理を依頼しているような経営内容が複雑で収益の高い医療機関ではないかと指摘、回収のバイアスがかかっている可能性を指摘した。その主張の検証方法として、レセプトベースの調査などを厚労省に提案した。ただ、支払い側委員がこれら口頭での説明に難色を示したことから、今後改めて検証方法を含めた議論行うこととした。
医療経済実態調査では、医療機関の収入となる「医業・介護収益」から、人件費や材料費などの「医業・介護費用」(コスト)を引いた損益差額の割合について、個人診療所で32.2→29.6%(金額:222万8000円→204万8000円)、医療法人診療所は8.8→4.4%(112万2000円→59万2000円)と悪化したが、医療法人病院(2.1%)や国立病院(2.1%)、公立病院(△15.5%)などと比べると高い利益率を保っているともいえる。